親子関係において不動産を無償で賃貸する場合の税金とは不動産相続・相談コラム | 吉川・三郷エリアの不動産ならピタットハウス吉川店-株式会社アクシア-

親子関係において不動産を低額または無償で賃貸する場合、所得税や相続税などの税務上の影響について解説いたします。特に、マンションの1室を親子間で無償もしくは低額で賃貸した場合、どのように税務が取り扱われるのかお話ししていきます。

■親名義の不動産を子が無償で利用する場合
　親が所有する複数の不動産のうち、1部屋を子などの親族が無償で利用する場合があります。通常、こういったケースでは親から子への正規な賃料の支払いは稀で、むしろ無償か、固定資産税相当額の低い賃料での利用が一般的です。このような無償や低額での賃貸を「使用貸借」と呼びます。

・使用貸借契約についての法的制約
　法律上、子などの親族との間で不動産を使用貸借することには特別な制約はありません。しかし、所得税、贈与税、相続税に関する法的な取り扱いについては十分な確認が必要です。

・所得税の影響
　無償での賃貸によって生じる所得税への影響が気になりますが、子に無償で不動産を賃貸した場合、不動産所得は赤字になることがあります。ただし、この赤字を他の所得と損益通算して節税することは難しくなる場合があります。

・贈与税の考慮
　無償の賃貸は原則として贈与税の対象となりますが、課税上の特例が適用される場合もあります。具体的な状況によって贈与税の発生を抑制できるかどうかを検討することが重要です。

■親子間での不動産賃貸と税金―節税の余地と法的ポイント
・無償の親子間賃貸と所得税の取り決め
　親子関係において無償または低額で不動産を賃貸する場合、所得税の影響が気になります。子に無償で不動産を貸し、それによって発生した不動産所得が赤字になる可能性があります。これにより、親が不動産を安く賃貸して赤字を発生させ、その損失を他の所得と損益通算することで節税できると思うかもしれません。
　しかし、生計を共にする親族に貸し出した場合、かかった費用は通常「家事費」に該当し、必要経費としては認められません。親が無償で子に不動産を貸したからといって、節税につながるわけではないことに留意しましょう。そして親から無償または低額で不動産を借りた場合、子に所得税が発生することはありません。また、子が物件を居住用ではなく事業目的で使用する場合、親に支払った賃料は通常事業の必要経費とは見なされません。代わりに、固定資産税や物件の減価償却費などが経費に算入される場合があります。税金の詳細な取り扱いは専門家への相談が重要です。

・不動産賃貸と贈与税の影響
　贈与税は金銭や物品などの贈与を受けた際に課される税金で、家族間のやり取りでも適用されます。本来は、無償の不動産賃貸も贈与税の対象となりますが、課税上の弊害がないと判断される場合は贈与税の対象にならないことが多いですが、個別の状況により異なります。

したがって、親子間での無償や低額な賃貸が贈与税の対象となるかどうかは具体的な事情により異なります。税理士との相談を通じて、適切な申告手続きや節税の方法を検討することが重要です。

■相続税計算における自用不動産と賃貸用不動産の違い
　賃貸住宅において相続税の評価がどのように軽減されるかについて詳しく解説します。まず、相続税の計算において、自分で使用するための不動産と賃貸用の不動産では、評価方法が異なります。

・自用のマンションと賃貸マンションの相続税評価の違い
相続税の計算において、自用のマンションと賃貸に出しているマンションでは、賃貸用の方が低い評価となります。これは、賃貸用の物件は他者に貸し出しているため、貸主の都合で容易に明け渡すことが難しく、自由な利用には制限がかかっているためです。これが、賃貸不動産が評価軽減の対象となる理由の一つです。

・無償や低額で賃貸された不動産の相続税計算上の評価
　親子間で無償や低額で賃貸された不動産の相続税評価はどうなるでしょうか？賃貸用不動産が評価軽減の対象となるのに対し、親子関係においては少し異なります。
この場合、無償で賃貸された不動産は「自用」として評価され、賃貸による減額計算が適用されません。賃貸不動産が低く評価される理由は他者に貸し出している制約があるからであり、親子関係においてはそれがないためです。
　ただし、親がアパートを所有しており、その一部を子に無償で提供し、残りを他者に賃貸している場合、子に提供された部分だけが自用として評価され、それ以外は通常の賃貸評価が適用されます。

■まとめ：税金の取り扱いとトラブル回避
　親子関係における無償や低額での賃貸は、相続税の計算において特別な取り扱いがあります。賃貸不動産の評価が低くなる背景を理解し、特に複数の子が関与する場合は公平性に留意することが重要です。相続税に関するトラブルを避けるためにも、専門家との相談が不可欠です。

このような税務上のポイントを理解し、家族や相続に関わる財産の管理に慎重に取り組むことが、円滑な相続手続きと家族関係の円満な維持に繋がります。