【2030年問題】個人資産の半分以上を高齢者が保有しているリスク不動産相続・相談コラム | 吉川・三郷エリアの不動産ならピタットハウス吉川店-株式会社アクシア-
2030年問題と資産の高齢化がもたらす影響
近年、日本の高齢化社会におけるさまざまな課題が指摘されていますが、特に注目すべきは「2025年問題」と「2030年問題」です。2025年には団塊世代が75歳以上になり、医療・介護の社会保障費が急増すると懸念されています。
2030年には彼らの多くが80歳に到達し、「資産の高齢化」による新たな経済的課題が浮上してきます。これは2つの課題は別々の問題を指しています。
本日は2030年問題とは何か?それに向けての対策をお話し致します。
1. 資産の高齢化が引き起こす問題
日本の個人金融資産は約2,000兆円にのぼり、この全体の資産の半数以上を65歳以上の高齢者が保有しています。
そして、2030年には個人金融資産の31%(金額にすると約620兆円)を75歳以上の高齢者が保有すると推計されています。しかし、認知機能の低下により適切な資産活用が難しくなり、以下のような問題が生じる可能性があります。
図 年齢別金融資産の保有割合の推計
(出典:駒村康平編著: エッセンシャル金融ジェロントロジー. 慶應義塾大学出版会, 2019)
(1) 消費の停滞と経済の停滞
高齢者は蓄えた資産を活用することで豊かな生活を送るべきですが、認知機能の低下によって消費行動が抑制されるリスクがあります。
その結果、預貯金が積み上がる一方で、高齢者本人の消費が減少し、経済全体の需要不足を招きかねません。また、高齢者が消費を控えることで、小売業、サービス業、観光業などに対する影響も大きくなります。
さらに、消費の低迷が税収の減少を招き、政府の社会保障負担が増加することで、財政の持続可能性にも影響を与える可能性があります。
高齢者が持つ資産をより有効に活用できる環境を整えることが、日本経済の健全な成長を維持する上で不可欠です。
(2) 投資の停滞と金融市場への影響
高齢者が資産管理を適切に行えないと、投資の意思決定が滞り、株式市場や債券市場の流動性が低下する可能性があります。
特に、多くの企業の株式を保有する高齢者のガバナンス参加が減少すれば、企業の健全な経営が損なわれるリスクも考えられます。
また、高齢者の投資活動の減退により、新規事業やスタートアップ企業への投資が減少することも懸念されます。
これにより、経済の活力が失われるとともに、新たな雇用の創出も鈍化する可能性があります。
(3) 詐欺や経済的虐待の増加
高齢者をターゲットとした特殊詐欺や投資詐欺の被害は年々増加しています。認知機能が低下した高齢者が悪質な業者の標的となり、貯蓄を失うケースも少なくありません。これにより、高齢者が経済的に困窮する事態も懸念されます。
また、身近な家族や介護者による経済的虐待のリスクも高まります。資産管理を家族に委ねた結果、不適切な使途に流用されるケースや、高齢者自身が資産の管理能力を喪失し、支出が適切に行われないケースもあります。
(4) デジタルデバイド(ITリテラシーの格差)の拡大
近年、非常に早いスピードで多くのものがデジタル化されて便利になっていますが、高齢者の中にはスマートフォンやオンラインバンキングの使用が難しい人も数多くいます。
そのため、高齢者がデジタル化の波についていけず、金融取引や情報収集に困難を感じるケースが増加しています。このデジタルデバイド(情報格差)の拡大は、高齢者の経済活動の制約につながり、詐欺や誤った金融判断のリスクを高める要因となっています。
(5) 相続と資産承継の課題
高齢者の資産が適切に次世代へ承継される仕組みが十分に整っていないと、相続トラブルの増加や資産の滞留が起こる可能性があります。
遺産相続における争いを防ぐためには、遺言や信託などを活用した適切な資産管理の仕組みが求められます。また、相続税対策の知識が不足している場合、資産を有効活用できないまま課税負担が増大することも問題です。
3. 今後求められる取り組みと研究
今後、高齢者の経済活動を支えるためには、以下のような取り組みが求められます。
(1) 認知機能の低下を把握する技術の発展
金融商品や契約において、高齢者の認知機能を適切に把握する技術の開発が必要です。
例えば、AIやデジタル技術を活用して、高齢者の判断力を評価するシステムが導入される可能性があります。
また、音声認識技術や行動分析を活用し、高齢者が不正な取引や詐欺に巻き込まれないようにするセキュリティ対策も求められます。
(2) 高齢者向け金融教育の推進
高齢者が適切な経済活動を行えるよう、金融リテラシー教育の充実が不可欠です。高齢者自身が金融商品や契約内容を理解し、正しい判断を行えるような教育プログラムの提供が求められます。
(3) 相続・資産承継の円滑化
資産の円滑な承継を実現するため、信託や生前贈与を活用した資産管理の仕組みを整える必要があります。これにより、相続発生時の混乱を防ぎ、資産を有効に活用できる環境を整えられます。
■まとめ
日本が直面する「2030年問題」は、単なる高齢化の問題ではなく、「資産の高齢化」が引き起こす経済的課題が本質です。
高齢者の消費・投資の停滞や、特殊詐欺の増加、経済的虐待のリスクが高まる中で、社会全体で「脆弱な経済主体」を支える仕組みを整えることが不可欠です。
これからの時代、金融機関、福祉機関、企業、自治体、市民が一体となり、高齢者の経済活動を支えるための新たな仕組みを構築していくことが求められます。
そのためには、文理融合の研究を推進し、認知機能の低下を前提とした社会経済システムの改革を進める必要があるでしょう。
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