■負債だけ放棄することは可能なのか?不動産相続・相談コラム | 吉川・三郷エリアの不動産ならピタットハウス吉川店-株式会社アクシア-

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■負債だけ放棄することは可能なのか?
■負債だけ放棄することは可能なのか?

■負債だけ放棄することは可能なのか?

 

今日はみなさんからよくある質問で

「負債だけ放棄することは可能なのか?」について解説いたします。

 

初めに結論から申し上げますと

負債だけを放棄して、財産だけ相続することはできません。

 

相続人は

・単純承認

・相続放棄

・限定承認

この3つの選択肢から1つを選ぶ必要があります。


1. 単純承認

  • 被相続人の財産と負債の両方を無条件に引き継ぐ。
  • この場合、相続人は負債も含めた全てを承継する義務があります。
  • 例えば、遺産が現金500万円で負債が1,000万円の場合、相続人は自己資産を使って500万円分の不足分を返済する義務が発生します。

2. 相続放棄

  • 被相続人の財産も負債も全て引き継がない選択。
  • 相続放棄は相続人の1人が「単独で」行うことができます。
  • 相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人でなかったとみなされます。
  • 相続放棄を選ぶことで、負債の返済義務を完全に回避できますが、同時に財産も全て放棄することになります。
  • 注意点: 相続放棄をした場合でも、他の法定相続人が負債を引き継ぐ可能性があるため、家族間で協議が必要です。

3. 限定承認

  • 被相続人の財産の範囲内でのみ負債を承継する。
  • 限定承認は相続人の「全員で」行う必要があります。
  • 財産を超える負債を引き継ぐ必要はありませんが、財産を使って負債を清算する義務があります。
  • この選択肢では、財産と負債の総額を整理して相続手続きを行うため、負債を完全に放棄することはできません。

■負債だけを放棄できない理由

相続は、被相続人の財産および権利義務全体を引き継ぐ制度です。そのため、法律上、財産だけを受け取り、負債を放棄するような選択は認められていません。

  • 法的理由: 民法では、相続人は「包括承継」として被相続人の権利(財産)と義務(負債)を一体として承継することになっています。
  • 公平性: 財産を得るだけで負債を免れることは、債権者の権利を不当に侵害することになるため、法律で認められていません。

■負債を引き継ぎたくない場合の選択肢

  1. 相続放棄をする
    • 負債を引き継がない確実な方法です。ただし、財産も一切相続できなくなる点に注意が必要です。
    • 相続放棄は、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
  2. 限定承認を選択する
    • 負債が財産を上回るリスクがある場合に選ばれる方法です。財産の範囲内で負債を清算し、それ以上の負債は免除されます。
    • 相続人全員が同意し、共同で家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 

■限定承認とは?

限定承認とは、相続において相続人が「被相続人の財産の範囲内で負債を承継する」ことを選択できる制度です。これにより、相続人は被相続人が遺した財産以上の負債を負うことを防げます。

 

■限定承認の基本的な仕組み

限定承認を選択する場合、相続人は被相続人の財産の総額を確定し、その範囲内で債務を支払います。例えば、被相続人が以下のような財産と負債を遺した場合を考えてみます。

 

財産:合計1,300万円(現金500万円、不動産800万円)

負債:借金2,000万円

この場合、相続人が限定承認を選択すると、不動産や現金を処分して借金を支払い、財産を超える負債(この例では700万円分)については相続人の責任が免除されます。

 

■限定承認が利用されるケース

・負債の有無が不明な場合

被相続人の財産状況が複雑で、負債がどの程度あるのかわからない場合、限定承認を選ぶことで予期せぬ多額の負債を避けることができます。

 

・財産の一部を確保したい場合

例えば、被相続人が家族の生活の場となる不動産を所有している場合、この不動産を処分して負債を返済した上で、余剰分を確保するために限定承認が選ばれます。

 

・価値のある物品が含まれる場合

例えば、家族にとって思い入れのある骨董品や美術品などを相続したい場合、限定承認を利用して、それらの財産を保持しつつ、負債を整理できます。

 

上記のように、柔軟な対応が可能です。相続放棄ではすべての財産を放棄しなければならないため、価値のある財産を残したい場合には限定承認が適しています。

 

■限定承認の注意点

・手続きの複雑さ

限定承認を選択するには、「相続人全員」が「家庭裁判所に申し立て」を行う必要があります。これには、遺産目録の作成や財産調査が必要となり、専門家の助けが求められる場合があります。

 

・期限の制約

限定承認は、相続の開始を知った日から「3か月以内」に申し立てる必要があります。期限を過ぎると、単純承認とみなされてしまうため、迅速な判断が求められます。

 

・債権者への対応

財産の範囲内で債務を返済する必要があるため、債権者と適切に交渉を進める必要があります。

 

 

■具体的な事例

事例1:被相続人の負債が財産を上回る場合

被相続人のAさんが亡くなり、以下の財産を遺しました。

 

財産:財産合計350万円 現金200万円、車(時価50万円)、古い家屋(時価100万円)

負債:負債合計850万円 住宅ローン800万円、クレジットカード未払い50万円

相続人である息子Bさんが限定承認を選択した場合、Aさんの全財産(200万円+50万円+100万円=350万円)を使って、負債(850万円)の一部を返済します。結果として、Bさんには相続超過分の500万円について支払い義務は生じません。

 

このように、負債が多いケースでも、限定承認を選ぶことで、Bさんは財産を超える負債を背負わずに済むのです。

 

事例2:価値ある遺産を守りたい場合

被相続人Cさんが遺した財産に、親族代々受け継がれてきた土地(時価2,000万円)が含まれていました。しかし、Cさんには未払いの税金が1,500万円ありました。Cさんの娘Dさんは、この土地を守りたいと考え、限定承認を選択します。

 

Dさんは土地を一部売却して税金を支払った後、残りの土地を相続することができました。この場合、限定承認を利用することで負債を整理しながら、家族にとって重要な財産を保持することができました。

 

■負債よりも財産の方が多い場合に限定承認は使われるのか?

財産が負債を上回る場合、限定承認を選択するケースはまれですが、特定の状況では意味があります。以下に、その理由と限定承認が有効な場合を説明します。


1. 通常のケース

財産が負債を上回る場合(例えば、財産1,300万円、負債1,000万円)で、負債を清算した後に300万円が残るのであれば、「単純承認」を選択するのが通常です。単純承認では、相続人は全財産を引き継ぎ、負債も含めて処理します。

このような状況では、限定承認を選ぶことに大きなメリットはありません。


2. 限定承認が意味を持つ場合

財産が負債を上回る場合でも、以下のような状況では限定承認を選択する意味があります。

(1) 負債の総額が不明な場合

被相続人が多くの債権者や複雑な負債関係を持っていた場合、相続人が負債の総額を正確に把握できないことがあります。この場合、後から予期せぬ負債が発覚して財産以上の返済を求められるリスクを回避するため、限定承認を選ぶことで財産を超える負債の支払い義務を防ぐことができます。

  • : 被相続人の遺産として、現金1,500万円がある一方、借金が1,000万円あると把握されているが、その他に隠れた債務があるかもしれない。この場合、限定承認を選べば、万が一隠れた債務が発覚しても相続人が責任を負うのは財産の範囲内のみとなります。

(2) 特定の財産を確保したい場合

負債を清算した後、特定の財産(不動産や骨董品など)を手元に残したい場合、限定承認を選択することで、その財産を確保しやすくなります。単純承認の場合、すべての財産が債権者への弁済に使われる可能性があります。

  • : 被相続人が1,500万円相当の不動産を遺しており、これを売却したくない場合、限定承認を選び、不動産を弁済の対象外とすることで保有を可能にする。

(3) 遺産に係る法的リスクがある場合

被相続人の財産が法的リスクを伴うものである場合、限定承認を選択することでリスクを回避できます。

  • : 被相続人が過去に契約や未払い金の問題を抱えており、今後新たな訴訟リスクが発生する可能性がある。この場合、限定承認を選ぶことで、財産を超える損害賠償請求を避けることができます。

(4) 遺産が負債以外にも特殊な義務を伴う場合

遺産に負債だけでなく、保証債務や契約上の未履行義務が含まれる場合、限定承認を選ぶことで、予期せぬ義務や負担から身を守ることができます。


3. 限定承認の費用対効果を考える

財産が負債を上回る場合でも、限定承認を選ぶためには以下の手続きが必要です:

  • 家庭裁判所への申し立て
  • 遺産目録の作成
  • 手続きにかかる時間や費用

これらの手間と費用を考慮すると、負債が明確に把握されており、財産が十分に負債を上回っている場合には、限定承認を選ぶ必要性は低く、単純承認を選ぶ方が効率的です。


まとめ

財産が負債を上回る場合でも、以下の状況では限定承認を選ぶ価値があります:

  1. 負債の全容が不明である。
  2. 特定の財産を確保したい。
  3. 遺産が法的リスクや特殊な義務を伴う。

ただし、明らかに財産が負債を上回り、負債の全容が把握できる場合には、手続きの簡便さから「単純承認」を選ぶのが一般的です。限定承認を選ぶかどうかは、状況に応じて慎重に判断する必要があります。専門家(弁護士や司法書士)に相談することをお勧めします。

 

■限定承認に関するよくある質問と回答


Q1: 限定承認は誰が利用できますか?

A: 被相続人の財産を相続する立場にある相続人全員が利用できます。ただし、「相続人全員」が共同して家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。


Q2: 限定承認はいつまでに申し立てる必要がありますか?

A: 相続の開始(被相続人の死亡)を知った日から「3か月以内」に「家庭裁判所」へ申し立てる必要があります。この期間内に申し立てを行わないと、単純承認とみなされる場合があります。


Q3: 限定承認を選択するメリットは何ですか?

A:

  1. 財産を超える負債を引き継ぐリスクがない。
  2. 遺産の一部を確保しながら、負債を整理できる。
  3. 財産と負債の状況が不明な場合に安全な選択肢となる。

Q4: 限定承認と相続放棄の違いは何ですか?

A:

  • 限定承認は、財産と負債を調整し、財産の範囲内で負債を引き継ぐ選択肢です。
  • 相続放棄は、すべての財産と負債を放棄し、相続人の立場を辞退するものです。

Q5: 限定承認はどのように申し立てますか?

A: 家庭裁判所に以下の書類を提出して申し立てを行います。

  1. 限定承認申述書
  2. 被相続人の財産目録
  3. 戸籍謄本(被相続人と相続人全員分)
  4. その他必要書類(家庭裁判所の指示による)

Q6: 限定承認で財産の範囲内で負債を支払うとは、どういう意味ですか?

A: 限定承認では、被相続人が遺した財産を換金し、その資金を使って負債を支払います。財産が負債を上回れば、余剰分は相続人が引き継ぎます。一方、財産が負債に満たない場合、超過分の負債は相続人が支払う義務を負いません。


Q7: 限定承認を選択した後、財産を自由に使えますか?

A: 限定承認後は、相続財産はまず債権者への弁済に充てられます。全ての債務を清算した後に残った財産については、相続人が自由に使うことができます。


Q8: 限定承認を選んだ場合、不動産も売却しなければなりませんか?

A: 原則として、不動産も含めた全財産を処分して負債の清算を行います。ただし、自宅など一部の不動産を売却せずに弁済を行う特例が認められる場合もあります。不動産の時価評価相当の資金を現金または融資で用意する必要があります。詳しくはご相談ください。


Q9: 限定承認を選択する際に注意すべき点は何ですか?

A:

  1. 相続人全員の同意が必要。
  2. 手続きが複雑で時間がかかる。
  3. 3か月以内に手続きしないと単純承認とみなされる。
  4. 弁済を適切に行わないと、債権者とのトラブルが生じる可能性がある。

Q10: 限定承認を選択した場合、相続税の支払いはどうなりますか?

A: 限定承認でも相続税は課税されます。ただし、債務控除により相続税額が減額される場合があります。相続税の申告が必要かどうかは財産の総額によります。


Q11: 家庭裁判所が限定承認を認めなかった場合、どうなりますか?

A: 家庭裁判所が申述を却下した場合、相続人は単純承認または相続放棄を選択することが求められます。


Q12: 限定承認は全ての相続人が選択する必要がありますか?

A: はい。限定承認は相続人全員の合意が必要です。一人でも反対する相続人がいる場合、限定承認はできません。


Q13: 限定承認を選択すると、他の債権者や相続人とトラブルになることはありますか?

A: 可能性はあります。特に、債権者に対する清算手続きが不適切だった場合や、相続人間で財産分配に関する意見が分かれた場合にトラブルが生じる可能性があります。


Q14: 限定承認を行う場合、専門家に依頼した方が良いですか?

A: はい。手続きが複雑であり、遺産目録の作成や債権者との調整が必要なため、最終的には弁護士への依頼が必要になると考えた方が無難です。

 

 

 

■まとめ

限定承認は、相続において負債のリスクを管理しつつ、財産を引き継ぐための有効な選択肢です。しかし、手続きが複雑であり、迅速な対応が求められるため、判断が難しいです。

自分にはどのような選択肢があるのだろうか?と悩んだ時には、ぜひ株式会社アクシアにご相談下さい。

被相続人の財産や負債の状況に応じて最適な選択肢を見極めることで、相続人にとって有利な相続を実現できます。

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